何年かぶりに風邪をひいた。保険証の自分の名前が使われるのも記憶が定かでない。春近しというのに、荒天続き。雨男の面目躍如か、主催するイベントは見事にすべて雨、そして雪。余りの寒暖差に40を超えた体が持たなくなったのだろうか。その年も考えずに、気絶はずれの雪を子どもみたいに楽しんだせいか、とにもかくにも大好きな飲み会にも行かず(行けずに?)医者からもらった薬をおとなしく飲んでいる。(もちろんアルコールとともに)でも熱があるとなおさら神経がさえて、夜中までいつものようにウロウロと。「大体、こんな時くらいじっとしてられないの!古臭い服ばっかり着てるくせに、インフルエンザなんて流行りにやられるなんて」・・・(病人には優しくしなさいって、親から言われなかった?)
実は昨年から家族の病院通いが続いていて、普段医者嫌いの私がほとんど足を踏み入れることのないナースセンターや手術室など、 興味津々でまたウロウロと。医者は威張りくさって、ちょっと怖いというイメージしかなかったが、「説明責任」という(ややこしいカタカナがあるらしいが何だったっけ)最近の方針でなのか、病状の説明や手術の方法など、やけに詳しく話してくれるし、なにせ気持ち悪いくらい優しい。「ちょっと風邪気味で・・」なんていうと、「病気が分かってるなら医者になんか来なさんな!」って昔怒られてた気がするが。
特に憧れの“白衣の天使”にはいやというほど会うことができた。受付で困っている人を優しく案内する女性、病室の前でウロウロしていると笑顔で手招きしてくれる、退院の時にはお見送りまで。(本当に白衣の天使だ~って思ったけれど、ただ後ろ姿がやけにきれいな人が多かったような)でもやっぱ若者は事務的で、振り向かないで~っていうおばちゃんは優しいんだよな。
術後、摘出した部位の生々しい写真を見せながら“左上腕軟部○○皮下○○病”(○○は隠してる訳じゃなく忘れただけで、正確にはもっと長かったような気がするが)の最後の説明も優しくしてくれた。まあ、1、2週間の入院ならこんな興味本位でいられるだろうが、これが何年も病室にってなると耐えられんのだろうな。健康診断で、高学歴、高収入、高学歴に勝るとも劣らない(?)高血圧、高コレステロール、高脂血症という病気の3高のお墨付きをもらっている私も、いつ白衣の天使のお世話になるとも分からない。遊びほうけて亡くなるか、酒びたりで屍となるか。畳の上で死にたいというお年寄の気持ちが少し分かるような気がしてきた病院通いの日々であった。
ついに最後のイベントまで雪に降られてしまったが、伊勢正三のなごり雪が涙を誘うように、別れに雪景色もなかなか風情がある。私も40のフレッシュマンたるべく必死で気持ちの切替をしているが、なかなか上手くいかない。人前で涙しない私も、別れの季節に多少の寂しさを禁じえない。そんな不安な気持ちを察したのか「熱でうなされてても“酒、酒飲みてー” って叫んでるくらいだから、何があっても大丈夫よ」・・・ありがたや、ありがたや。
なごり惜しいが、つまらないコラムもここで断筆。
不定期コラムに最後までのお付き合い、ありがとうございました。ではまた!