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森川緑ニュース

2003年01月20日

第7回 《とっきんずし》  by kakuzo 【日暮描蔵の厄落としの書き下ろし】

 人生、折り返しを過ぎると(多分過ぎていると思うが)、時が経つのが早いという。確かに一年が過ぎ、迎えたくない誕生日がやってくるのもアッというまである。眠りについたと思ったら、もう朝日がまぶしく、たった今昼メシを食ったと思ったら、空いたグラスに2杯目のビールを注いでいたり。昨日の晩メシ何食ったっけ、アレっ此処に何しに来たんだっけ(段々違う方向に・・・)

 エッ!このコラム、先週アップしなかったっけ!若いころのように、遊び惚けて時が過ぎるというのじゃなく、体を流れる時間が早く過ぎていくようである。

 いまやデジタル時代、真っ盛り。携帯電話やパソコン、家電もオーディオも、もちろん時計もデジタル。乗り物もデジタル仕様が大はやりで、季節感のない野菜も多分、デジタル管理されているのだろう。一人で過ごすときも、家族団欒していても・・一生懸命なときも、ボーっとしていても・・子どものときも、老いさらばえていても・・年の瀬であろうと、新年になっても・・・暖かい部屋の中でも、狭くさえぎられた冷たい床の上でも・・・時は変わらずに過ぎてゆく。デジタル人間でも、アナログ人間でも・・

 確かに便利なデジタル社会、でも時の流れはデジタル時計のように'1・2・3'とは進まない。詩の行間に想いを載せていくように、1と2の間にそれぞれの想いがたくさん詰まっている。振り返ったり、立ち止まったり、思ったようには進まないものである。

 そうはいっても、やっぱり何かと便利なのがデジタル家電製品。この時期、家の中は大変なことになっている。18度に設定されたファンヒーターから心地よい温風が吹き出し、乾燥しすぎちゃいかんと湿度40%に保つ加湿器から湯気を出し、「外は寒くて乾かないじゃん」と部屋干している洗濯物のために除湿機能付乾燥機までもが同居し、分けのわからない状況となっている。地球温暖化防止全国推進協議会(?)から厳しい指導を受けるに違いない。こんな'ながら'は、生活じみたことだけじゃなく、CD聞きながらテレビも眺めつつ、パソコン開いて本を読む、なんてことを繰り返す私に「子ども達に'使わないものは片付けろ'なんて言えないわよネー」と、家内財政金融および質素節約整理整頓叱咤激励時折激昂大臣(?)から優しいお言葉を受けることとなる。

 ただ眺めることが多いテレビも、たまに面白い番組に見入っていると気になることがある。同じようなテーマで、同じような番組構成で、出演者も似かよっていて、「昨日なかった?この番組」ってなことがある。クイズ番組しかり、法律番組しかり、最近はニュース番組でさえ、そういう傾向があるのでは。それと、よく見るあのテロップというやつ。字幕スーパーじゃあるまいし、あらゆる場面で登場する。しかも'えーっ!'とか'うそーっ!'なんて、感嘆符にまでテロップ付けやがって、丁寧にCM前をCM明けに何度も繰り返す始末。やっと見る気になっているのにアキアキする。テレビ、新聞のなかった高校生活、特に情報が不足したこともなかったし、時代に取り残されたと思ったことはなかった。新聞をテレビ欄から見始める今の子ども達、生活の時間までテレビに縛られるデジタル人間にはなって欲しくない。
(ビデオがあるもーんって・・・そうじゃなくて)

 街角に流れるヒットソング(デジタル時代の表現じゃない?)も、CMソングかドラマの主題歌だらけ。いくらビジュアルメディア先行でも、'ちったー自分のポリシーを'と自省を込めて思うばかりである。普段きびしい家内財政金融および質素節約整理整頓叱咤激励時折激昂大臣も、CMには弱いらしく、「なんで、またコマーシャルなの」と言いつつ、CMに流れるお寿司やケーキ、お菓子に現を抜かしている。口の中でとろける大トロの握りやプチっとはじけるイクラの軍艦巻き、想像するだけでお腹が空いてくる。最近は握り手の見えない'回る'寿司屋にしか縁がないが、大きなアゲの中に椎茸や人参、コンニャクなど新鮮な山の幸を混ぜ込んだ、『とっきんずし』。懐かしい言葉の響きとともに、しわしわの手でご飯を詰め込んでいた祖母の優しい顔が浮かんでくる。折り返しを過ぎた人生、メディアに縛られない、地球に優しい生活を過ごそう。

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