2002年12月20日第5回 《鍋!なべ!ナベ!》 by kakuzo 【日暮描蔵の厄落としの書き下ろし】街ゆく女子高生の色とりどりのマフラーが、木枯らしになびき、今年はひと足速い冬本番がやってきた。秋を彩る紅葉も、すっかりその輝きをひそめ、モノトーンの水墨画の世界が広がる季節を迎える。 とは言っても、クリスマスだ、正月だと一足も二足も早く商戦が始まり、それにつれてイルミネーションがやたらと光り輝くのもこの時期。 "蛍の光、窓の雪"も今では死語であろうが、一瞬にきらめく自然の光には心奪われるものがある。それが、はかなく消えゆく光ならなおさらのことで、流れ星に思いを馳せるのも、その儚さに魅せられるからかもしれない。しし座流星群が毎年やってきているのも知らなかったが、夜空の星や水面に沈む夕陽、月の明かりに照らし出される雪景色など、まだまだ見捨てられない風景がたくさんある。やたらと着飾った光が多いなか、やさしい暖かみが心を惹きつける。 そんな見る暖かみもうれしいけれど、一足早い冬の訪れとともに、身も心も温まりたい!小学校の頃、真っ赤になったダルマストーブを皆で囲み、先生も一緒にぼんやりとすごした昼休み、食べ残しのパンをストーブの上で焼いた香りが今でも頭のここらへんに(どこや)残っている。ほっぺたの赤い女の子や鼻水たらした子は最近あまり見ないけど、ダルマストーブの暖かさを教えてあげたい。床暖房やエアコンなんてハイテクではないけど、本当の暖かさが味わえるような気がする。 シシ鍋、カキ鍋、もつ鍋、おでん、すき焼き・・・あったかい鍋物にも限りがない。味覚の季節がないこの頃だが、熱―い鍋に、辛―い薬味を入れて季節を楽しむ。 "自分は鍋の中の何なのかなー"と人生の機微を感じながら楽しむ鍋もあり、 "差しつ差されつ"密かに2人でつっつく鍋もあり、"人恋しさに一人で涙する"鍋もある。鍋物はいろんな人生模様を映す食べ物の鏡だ! 「たまーに、怪しいネオンに引き寄せられるのも人恋しさかなー」ってヘンな自己弁護に、「ふーん、たまにね!ネオンじゃなくて酒とバラじゃないの」・・・ウーム、光に群がる蛾のように我を忘れちゃいけない! |
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