2002年10月20日第4回 《旬の味、酢牡蛎、焼牡蛎、カキフライ》 by kakuzo 【日暮描蔵の厄落としの書き下ろし】山の端に沈みゆく夕陽に、まばゆく揺れる黄金色のススキの波。赤、黄、緑と、秋を彩る紅葉を語るには、三色では申し訳ないほどのキレイな色で山々を染める木の葉。高く澄んだ青い空とあいまって、華やかな春の色とは一味違った清々しい秋の色たち。(秋は人を詩人にさせるなー・・・) でも、こんな素敵な風景にハッとする瞬間が、年を経るにつれ少なくなっているような気がする。天気のせいで残念ながら今年は中止となった(らしい)雲海ハイキング。昨年、フとした事で参加させてもらったが、凛とした空気の中に広がる幻想的な世界に驚きはしたものの、すぐに興味は久しぶりの山の幸、アケビに向いている。四季を物語る食べ物も、季節に関係なく作成されるようになったこの頃では、子供の頃は当たり前だった山の恵みも珍しく感じる。 アケビ、栗、柿、ぐみ、イクリ、銀杏、ズバナ、ギッシントウ、刈り取った後のトウモロコシの茎、ムカゴ(ここまでくると、ちょっと説明が必要かな)懐かしい味が頭の中を駆け巡る。スナック菓子やハンバーガー世代には分からないだろうが、昔のファーストフードだったのかも。学校帰りに近所の柿の木に登ったり、周りを気にしながらとったグミを食べ過ぎてお腹をこわしたり、ドキドキ、ワクワクの連続だった。具のないお好み焼で食費を浮かし、JAZZのレコードを買ったり、初版の詩集を古本屋で探したりしていた学生時代、人見知りで若い女性とまともに話せずドギマギしていた頃。子供の頃のいたずらや思春期の探究心、年を取るごとに緊張感や挑戦する心、こだわりが後退しているのだろうか。--「今ごろ、話しかけてくれる若い女性なんていないでしょ」(はい、はい、いないですよ) 都市にももちろん、様々な文化や芸術に触れる機会は多い。でも、それらを育む自然を山々は無限に秘めている。もう一度山に戻ろう、身も心も。なーんて言いながら、昨日、親戚のおじさんが送ってきた釣りたての鯛の刺身にうーむ、うーむとうなり、海の恵にうつつを抜かす私である。不思議な食感の牡蛎に心惹かれるようになったのはいつの頃からだったか、こうやって昔を思い出し懐かしむのも、やはり不惑を過ぎた年のせい? いつも11月まで半袖で勤めていた同僚が、今年はすでに長袖姿。これからの季節、山の幸をいっぱい入れて鍋物を楽しもう。季節とは関係ない熱燗と一緒に。 |
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